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歯周病学科

■糖尿病患者の歯周病治療■ 糖尿病とその合併症

生活習慣病予防が叫ばれる中、とりわけ罹患率の高い糖尿病はその合併症の多様さから注目される疾患である。平成19年度の国民健康・栄養調査から、糖尿病の可能性を否定できない人を含めると我が国では2200万人を越える。

糖尿病は糖を消費するために必要なインスリンの量が不足することによって血糖値が高くなる疾患である。膵臓のβ細胞で作られるインスリンは血糖値を正常にするホルモンで、血中のブドウ糖をエネルギーにするほか、グリコーゲンや脂肪へ置換し組織に蓄える作用をしている。糖尿病にはインスリン依存性といわれる1型と非インスリン依存性といわれる2型があり、1型糖尿病はインスリンをつくるβ細胞が破壊され、インスリン量が絶対的に不足して自己免疫性、または突発性に発症する。2型糖尿病は遺伝的にインスリンの量が少ないなどの要因に加え、生活習慣が関連し発症するインスリンの相対的不足が原因となる。日本人はもともとインスリン分泌能が低いことに加え、高脂肪な食事や運動不足など、生活習慣によりインスリン抵抗性が増し発症する。そのほか、妊娠、肝疾患、腎疾患、免疫異常、薬剤性などが原因となることがある。

糖尿病は長期にわたる血糖コントロールの状態によっては、多くの合併症をもたらす疾患で、その合併症が生活の質を大きく低下させる。合併症には、血流の障害による手足の壊死、神経症、網膜症による視力障害、腎障害、動脈硬化などがある。近年、歯周病も合併症の1つととらえられるようになり、2008年に糖尿病学会が編集した糖尿病治療ガイドのおいても慢性合併症の1つとして取り上げられている。糖尿病が歯周病を発症、増悪させやすい機序としては、(1)口腔内および歯周ポケット内の環境変化、(2)易感染性、(3)高血糖下における炎症増幅などがあげられる。

医科と歯科との連携について

糖尿病の患者では重度歯周病の罹患率が高いことは良く知られている。プラークコントロールを徹底し歯周病を改善させることは重要であるが、高血糖状態自体が歯周病のリスクとなっていることも考慮しなければならない。そのため、医科と連携し、血糖コントロールを把握することが必要になる。

また、歯周治療による歯周病の改善が糖尿病患者の血糖コントロールの改善に関係する可能性が最近の研究から示されている。特に2型糖尿病に関しては、歯周治療を確実におこなうことにより、炎症サイトカインであるTNF-αの減少、HbA1c値の改善の可能性のほか、インスリン抵抗性に関与するCRPが低下することが明らかにされている。

糖尿病患者の歯周治療において抗菌剤を使用する場合は、内科主治医との間で処方内容の確認を行うことを勧める。観血処置の場合、感染予防の目的で術前、術後の数日間にわたる抗菌剤の投与となることがあるため、副作用などを考慮すると、合併症や使用薬剤に対する確認が必要とされるためである。

また、心疾患など合併症がある場合には抗血栓薬、抗凝固薬などを服用している場合あるので,止血時間などに注意が必要となる。糖尿病についての使用薬剤についてはアメリカの政府機関からも詳細が発表されている。※出典:Working Together to Manage Diabetes: Diabetes Medications Supplement (NDEP-54-S)PDF

歯周治療の中でも特に観血的な処置の場合は休薬や投薬を含め、全身状態の把握のためにも内科主治医との連携は必要であることを頭においておきたい。

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