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近年、食習慣の欧米化による脂肪摂取量の増加や、交通機関の発達による運動不足などを背景に、世界中で2型糖尿病が増加している。日本も例外ではなく、2006年の国民健康・栄養調査によれば、糖尿病の推定患者数はその可能性を否定できない者も含めて1,870万人と急増中である。
そうした状況下において、2型糖尿病患者に歯周病が多いという漠然とした印象が、古くから持たれていたようである。これを疫学的に証明したのは、米国の研究者らであった。彼らは米国アリゾナ州在住のピマインディアンを対象に、大規模かつ長期間の追跡調査を行った。その結果、糖尿病患者における歯周病の発症率は、非糖尿病例に比べて約2.6倍高く1)、アタッチメントロスは2.8倍以上進行していた2)。この大規模疫学調査以降、『歯周病は糖尿病における第6の合併症である3)』との考え方が周知されるようになった。
糖尿病患者が歯周病を発症・増悪しやすい機序としては、次の3つの点が挙げられている。

(1)プラークの付着や嫌気性菌の増加に適した口腔内および歯周ポケット内環境
健常者に比べて糖尿病患者では唾液分泌量が減少しており、加えて口腔液(唾液および歯肉溝滲出液)中のグルコース濃度が上昇している。そうした条件が、プラーク付着や菌増殖に寄与しているものと考えられる。
(2)易感染性(免疫低下と修復遅延)
糖尿病患者が感染しやすいことは一般にコンセンサスが得られており、事実、糖尿病患者において重症の感染症を併発している状態に遭遇することも多い。
その機序は多彩で、「糖代謝異常に起因する免疫低下」、「細小血管障害」、「その他因子」などの複合的要素により感染防御能が低下して、容易に感染症を引き起こし、重症化するものと考えられている。歯肉組織で感染防御を演じている多形核白血球も、糖尿病下にあってはその遊走能や貪食作用が低下しており、易感染性の一助となっている。また、糖尿病の細小血管障害は、歯肉組織においても血行不良の原因となり、感染によりダメージを受けた組織の修復を遅れさせている。(3)高血糖下における炎症増幅
『歯周病は糖尿病における第6の合併症である』と説明したが、その背景には高血糖下における炎症増幅の分子機構も密接に関係している。(※詳細は次頁)
以上のことから、糖尿病患者では歯周病の発症が多く、また、糖尿病患者の歯周病は難治ともされている。従って、糖尿病患者の歯周病治療に際しては、患者に厳格な血糖コントロールを促すことも大切である。
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