M&B スクール

口腔清掃学科

放射線治療にともなうお口のトラブル

表2 放射線治療のお口のトラブル

  頭から首の部分のがんに対して放射線治療を用いると、がん細胞を殺すだけでなく、お口の正常な細胞にも害を与え、ほぼ100%の方のお口にトラブルがおこります。症状には個人差がありますが、放射線照射線量が増えるにつれて表2に示したようなトラブルが現れます。永久的に注意が必要な症状もありますので放射線治療終了後も定期的に歯科を受診する必要があります。

 口内炎は、放射線治療を開始して早い人で5日から7日あたり、通常1~2週間で起こります。放射線治療を受けている間は続き、終了後、治るまでに約2週間かかります。また、唾液を出す細胞に放射線があたると、ダメージを受けて唾液が出にくくなり、お口やのどがからからに乾いたり、ねばねばしてきます。口の中が乾燥すると、唾液が持っているムシ歯を防ぐ作用が働かなくなり、全ての歯がムシ歯になりやすい状態になり、放射線治療終了後まもなくムシ歯となって現れます。これらのトラブルも、放射線治療を開始する前からのお口のケアで軽減することができると考えられています。

外科手術にともなうお口のトラブル

 口やのどに比較的大きながんがある場合は、手術で切り取った部分に自分の体の一部を当てて縫い合わせる組織移植手術を行います。お口の中が汚れている場合には細菌も多く、そのような状態でお口の中の手術を行うと、傷口から細菌が入って感染がおきたり、口の中の細菌が肺に入って肺炎をおこしたりします。実際、お口の中の外科手術の場合約40~60%の方にトラブルがおきるという報告があります。その結果、口からの食事の開始までの期間が長引き、入院期間が延びたりします。重症化すると食事がとれなくなったり、さらには感染が全身に広がって命にかかわる場合もあります。これらのトラブルを軽減するためには、手術前に歯科を受診して、悪いところを治療したり、お口の中をきれいにしてもらうことが大切です。

治療開始2週間前からのお口のケア

  お口のトラブルをともなう可能性があるがん治療を受ける場合には、治療開始までに必要な歯科治療や口腔清掃を終えられるように、がん治療開始の2週間前までに歯科を受診するようにしてください。そして、がん治療の最中や終了後に必要になるお口のチェックやセルフケアについても指導してもらいましょう。

   お口のケアにより口内炎やお口の乾燥などが治るわけではありませんが、これらの症状を軽減するためにはお口の状態を整えることは欠かせません。やわらかいハブラシと低刺激のハミガキを用いて優しくブラッシングし、お口の中を清潔に保つようにしましょう。ムシ歯予防のためには、手術前に歯科医院でフッ素塗布を行ってもらい、フッ化物が配合されたハミガキを選ぶことが大切です。また、お口の乾燥を防ぐためには、お口にうるおいを与える低刺激の洗口剤やスプレーを1日数回使用するとよいでしょう。頻繁にぶくぶくうがいをすることも大切です。お口の中を保湿すると、口内炎の症状を緩和したり、感染を抑えたり、食べ物を飲み込みやすくなる効果も期待できます。

   痛みのひどい時や、毎日のお口のチェックで変化を見つけた時は、歯医者さんに相談しましょう。がん治療のチームに歯医者さんにも加わってもらうことで、お口のトラブルを軽減し、がん治療をより良く進めましょう。

図 低刺激でやさしいオーラルケア製品を選び、お口の中を清潔に保つ。お口の中にうるおいを与えることも大切。

前へ 1 2 次へ

このページの先頭へ