治療・医療情報

2009年1月 「糖尿病患者を中心とした医科と歯科の連携」
糖尿病を専門とする先生方や糖尿病患者さんが歯周病についての講演も聞けるのですね?
坪井先生 はい。兵庫県医師会が会員に向けて開催している糖尿病セミナーでは、歯科医師が歯周病について講演する機会を頂いています。また、昨年3月に兵庫県医師会が開催した糖尿病に関する市民公開講座では、座談会に、内科医、外科医、眼科医、管理栄養士とともに歯科医もメンバーとして参加しました。一般の方への糖尿病と歯周病に関する講演会は兵庫県歯科医師会でも開催しているのですが、これらの効果なのか、最近では時々「糖尿病なんですが、歯周病の検査をしてください」という患者さんがいらっしゃることがあります。

槇林先生 最近、日本糖尿病学会の全国大会や地方会で、会員の先生向けの教育講演に「歯周病」がテーマとして取り上げられることが多くなり、勉強する機会が増えてきています。その結果、会員の先生方の間で歯周病についての関心が高まってきています。そして、患者さん方が歯周病を勉強する機会も着実に増えてきています。市民の方を対象とした歯周病の講演会の案内チラシを歯科医師会からたくさん頂くようになり、私の医院では、これを糖尿病の患者さんに渡して、是非、聞きに行くよう、勧めています。今後、糖尿病診療において、歯周病はとても重要な課題となります。歯科、医科双方が協力して、身近な勉強会をもっとたくさん提供できるようにする必要があると思います。
医科、歯科それぞれの先生方に、どのようなことを伝えていきたいと思われますか?
槇林先生 歯周病は慢性的な炎症を伴う疾患で、炎症の指標となる血液中のCRPという物質が増えることが知られています。糖尿病を診ていて、内科的、外科的に病巣がないのにCRPが高いというような場合には、歯周病を疑ってみて欲しいと思います。また、血糖値のコントロールの指標であるHbA1cに関しても、様々な手を施してもよくならない場合には、その原因の1つとして歯周病も考えてみて欲しいと思います。糖尿病性網膜症の予防のために、特に症状が無くても、患者さんに年1〜2回の眼科受診を薦めますが、同じように歯周病に関しても注意を払って、年に1〜2回の歯科受診を薦めてほしいと思います。また、歯科の先生には、歯周病の治療を行っても思うような効果が得られない場合には糖尿病を疑って、内科の医院への紹介を行って欲しいと思います。
医科と歯科の連携は今後どうなっていくでしょうか?
井上達秀先生 坪井先生 糖尿病患者さんを中心とした地域での医科歯科連携の具体的な事例はまだほとんどありません。地域への浸透、定着はこれからの課題です。医科と歯科はこれまで連携することが少なかったので、なかなか相容れない場合も多いのですが、糖尿病と歯周病に関しては、研究に裏づけされた科学的な根拠がそろいつつあって、これが医科と歯科の連携のきっかけになっていると思います。今後もこの情報を医療関係者にも一般の方にも発信することで、関係の強化を図っていきたいと思います。
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